令和5年8月20日(日)に『令和5年度 第3回 熊野町防災・減災まちづくり会議』を熊野町民会館集会室で開催しました。
　平成30年度から始まったこの会議は、町全体が協働する災害に強いまちづくりの実現を目指しています。
　今年度は『みんなで考えよう熊野町の防災』をメインテーマとして、来年度実施予定の総合防災訓練に向けて、町民同士の助け合い・行政と町民の協働・町民と地域の連携等についての講演、ワークショップ、訓練を開催しています。

　　　　　 

　第3回のテーマは『町民と地域の連携』で、第1部は山梨大学 地域防災・マネジメント研究センター准教授の秦康範氏による『持続可能な地域防災活動の推進 学校の避難訓練とフェーズフリー』と題した講演、第2部は防災訓練を考えるワークショップ（以下「WS」という。）を行いました。参加者は24名でした。

　　　 

　

　第1部の講師である秦氏は、阪神・淡路大震災での被災経験がきっかけで「防災」の道へ入られ、研究を続けてこられています。一般的に学校などで教えている防災訓練は果たして良い訓練なのか？何を目的とした誰のための訓練が必要なのか？といった観点で、実際の地震災害時の動画や、抜き打ち避難訓練の動画を踏まえながら講演頂きました。
　抜き打ち避難訓練の動画では、校庭で遊んでいる子どもたちが校舎に戻り、自分の机を目指して一目散に走る映像が流れました。動画を視聴した参加者は、「自分の身を守る行動」ではなく、「教えられた特定の行動」をとってしまうことに驚かれていました。特定の状況を想定した特定の避難行動を覚えても応用が効かないことから「いつどこで地震が起きてもいいように準備しておく」ことを身に付けてもらいたい、と強調されました。
　また、いつも（平時）ともしも（非常時）を区別しない、フェーズフリーの概念を紹介され、防災の認識を日常に落とし込むことで、自然に防災意識を高められるとお話し頂きました。参加者のみなさんは熱心に話を聞いておられ、日常の備えや活動が非常時に役立つと気付きを得た参加者もおられました。
　注：【第3回講演のYouTube公開は終了しました】講演の様子は熊野町YouTubeチャンネルで10月31日まで公開されています。抜き打ち避難訓練の動画も視聴できますので、是非ご覧になって下さい。https://youtu.be/l95vtxaE_pk

 

 　　　

　第2部は、神奈川県川崎市が作成した「みんなで訓練48」に載っている訓練を参考に、自分たちがやってみたい防災訓練を考えるWSを行いました。みんなで訓練48には、地域の防災訓練を高める48のレシピが掲載されており、防災訓練を誰でも実施できるツールとなっています。防災訓練の例を参考にしながら、参加者の皆さんには自分たちがやってみたい防災訓練はどんなものかを考えてもらい、「何を体験する訓練か」「誰に参加してもらいたいか」「どのような流れで進めるか」を用紙に書いて頂きました。

 　　　

　その後、自分が考えたアイディアをグループ内で紹介し合って頂きました。参加者からは「毛布で担架づくり体験」「ライフライン停止体験」「連絡網を利用した伝言ゲーム」「171体験」など様々なアイディアが出ました。

 　　　

　最後に講師の秦氏から、「三人寄れば文殊の知恵というが、4人5人集まればもっと知恵が集まることがわかりました。訓練を管理する意識が強くなると、「失敗してはいけない」という気持ちになり、新しいことをやらず、いつもと同じことをやろうとなりやすいです。しかし思考を変えて新しいことに挑戦し、「別に失敗してもいいじゃないか」となれば、防災に対するハードルはぐっと下がります。わくわく楽しめる新しいことをみんなで共有する雰囲気づくりが大事。これは地域でのコミュニケーション・話し合いに繋がります。本日の内容を地域に持ち帰ってもらい、実践して、課題を出して、さらに次の取り組みに繋げてほしいです。」と総括を頂きました。

　

　

　次回は、9月24日(日) 午後1:30から熊野町民会館・集会室で開催予定です。避難訓練の体験（毛布担架や簡易テントづくりを予定）を皆さんで実施した後、来年度の総合防災訓練で「やってみたい防災訓練」を話し合い、意見を深めていきます。是非ご参加ください。

 

　会議参加申込など詳しくは、熊野町役場防災安全課(電話：082-820-5631　FAX：082-854-8009／E-mail：kiki@town.kumano.hiroshima.jp)までお問合せ下さい。