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【教育長のページ】町内教育関係者で考えるよりよい教育とは

 本年度も町内の教育関係者(幼稚園、保育所、認定こども園、小学校、中学校、高等学校の所属長、公民館長、教育委員等)が一堂に会して様々な教育課題等について協議し連携を深める熊野町教育協議会を開催しました。まず最初に私の方から熊野町教育行政の重点目標である「学び続ける力の育成」「思いやりの深化」「学校、地域等との連携強化」について説明し、学校教育、社会教育、それをつなぐふるさと教育に係る方向性と施策等をお伝えしました。その後5つのグループに分かれて「よい教育、よりよい教育」とは何かについて協議しました。協議の前にこちらから現在NHKの朝ドラ「らんまん」の主人公のモデルである植物学者の牧野富太郎を紹介した朝井まかてさんの「ボタニカ」という本からエピソードを紹介。牧野富太郎が故郷で臨時教員をしているときの話です。算数の授業中のことです。農家の子で人前で話すことが苦手な岩吉。「ここに桃が三つ入ったかごがある。これを2倍してそれを4つ食ったらいくつ残るか?」岩吉に問うともぞもぞしているばかり。しかし富太郎は岩吉が答えを出していることを知っています。「ゆっくりでええぞ。」「岩吉どうじゃ?」岩吉「二つ」つぶやくように答えます。「では次の問いじゃ。桃を7人で食いたいが五つしかない。あといくつ要る?」皆が「二個」と答えます。岩吉は「要りません。」と答えます。富太郎は「ほう,要らぬか。理由を教えてくれ。」と言います。岩吉「うちはいつも桃の木から五つもいで、それを7人で食べよります。」富太郎「けんかにならぬのか?」岩吉「なりません。」富太郎「工夫がありそうじゃな。絵に描いて教えてくれ。」岩吉が絵に描いた後、富太郎は「それはいかなる分け方じゃ?」と問います。岩吉は「1個まるまるは父ちゃんに食べてもろうて、あとの三つを半分ずつ祖父ちゃんと祖母ちゃん、わしと弟、妹二人で分けます。」富太郎「すると一個余るが?」岩吉「母ちゃんに供えます。仏前に。」富太郎「それはよい分け方じゃ。数にはいろんな数が潜んどりそうじゃな。」すると一人の生徒が「うちは4人じゃから一つ余る。それを4等分してすると全部で五になる。」と学びが拡がります。教えることは一方的ではなく、自ら何かに辿り着く瞬間を辛抱強く待つことであると富太郎は思いました。

 その後は、富太郎の話も踏まえて協議。「よりよい教育」とは「個を大切にすること。」「自主性、主体性が大切。」「自分を大切にする、他人を大切にすること。」「温かくゆっくり育てること。」「笑顔がこぼれること。」など出てきました。よりよい教育に対して参加者の思いや考えがさらに深まった会となりました。

                                          熊野町教育委員会 教育長 平岡 弘資

 

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