平成30年度鳥獣被害対策 ~萩原モデルほ場での取り組み~
これまで熊野町では、農作物に被害を及ぼすイノシシやヌートリアなどの有害鳥獣被害防止対策のため、
○捕獲用の箱わなを購入し、町内各所に設置する、
○防除用施設の設置補助金の支出する、
○鳥獣被害対策実施隊員に駆除報奨金を支出する・・・といった対策を実施してきました。
鳥獣被害対策実施隊員による捕獲等では毎年一定の実績をあげておりますが、町内では、近年、民家のすぐそばまで有害鳥獣が出没し、同時に農作物の被害も増加する傾向にあります。農家では、高齢化や担い手不足で農地の荒廃化が進む中、これらの被害により農業に対する意欲を削ぐような事態となっており、これまで講じてきた対策も被害低減に結びついていないような状況です。
こうした中、平成30年1月および3月に広島県西部農林水産事務所の支援により、役場庁舎や集会所等を利用して、広島県の鳥獣被害防止対策のスペシャリストによる研修会を一般向けに実施しました。
研修会では、他市町が実際に取り組まれている被害対策事例のほか、実際に町内2か所で集落点検を実施し、実践対策等のご提案を頂くことができました。
講義の趣旨は、被害増加の原因は無自覚な行動による集落での「餌付け」であり、対策は次のようなものでした。
1.みんなで勉強 :誰も怒らないエサ(放置果樹、雑草、生ごみ等)があること。敵の生態を知ること。
2.守れる農地・集落づくり:エサ場、潜み場を無くすこと。
3.柵で守る、追い払う :効果的な囲いや追い払い(365日、24時間通電)を実施すること。
4.捕獲 :どうしても被害が減らない場合の加害個体を捕獲すること。
この研修会の内容を研修だけで終わらせることなく実践するため、平成30年度から熊野町の萩原地区で地元の女性を中心としたみなさん、広島県西部農林水産事務所および西部農業技術指導所、安芸農業協同組合、町が共同で耕作放棄地を農地へ復元し、鳥獣被害対策のモデルほ場を設置しました。
このモデルほ場では、熊野町特産の丹波の黒大豆を120株とその他の野菜を栽培し、結果的に有害鳥獣から作物を守ることが出来ました。
下表で、研修会や取り組み内容の様子について写真を掲載していますが、詳しくは平成31年1月8日(火)、2月12日(火)両日の午前10時から町民会館(集会室)で開催する「水稲・野菜づくり勉強会」で発表する予定となっています。
参加費は無料で、どなたでも参加することが出来ます。
是非ともお誘いあわせのうえ、お気軽にお越しください。
主な内容 | 写真 |
【研修会の様子】 |
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【研修会の様子】 平成30年 3月 5日 撮影 午前中は、平谷地区で集落点検を実施しました。午後からは、呉地公会堂で約20人が受講しました。 |
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【取り組み前のモデルほ場の様子】 平成30年4月5日撮影 こちらのほ場は、かつては水田でしたが、作付けされず、雑草が生い茂り、一帯はイノシシが掘り返していました。 |
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【自動撮影カメラで撮影したイノシシ出没の様子】 平成30年4月7日撮影 赤外線により動きを検知したときに撮影されるカメラを設置し、大きなイノシシを撮影することができました。 |
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【広島県鳥獣被害対策アドバイザー養成講座を開催した様子】 平成30年6月19日撮影 午前中は、役場庁舎で座学を実施し、午後からは、モデルほ場を活用し、電気柵の設置方法等を研修しました。 |
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【電気柵の仕組み】 広島県西部農林水産事務所資料 (イノシシとたたかっています) |
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【自動撮影カメラで撮影したイノシシ出没の様子】 平成30年6月19日撮影 電気柵設置後は、イノシシが近づいてこなくなりました。 |
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【丹波黒大豆の植え付けを実施】 平成30年6月22日撮影 約120株の植え付けを実施しました。 |
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【モデルほ場内にあるビワの木の剪定】 平成30年9月26日撮影 剪定前のビワの木の付近は、恰好のエサ場、潜み場であるため、これを無くしました。 |
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【丹波黒大豆の収穫】 平成30年10月18日撮影 中心となって活動された地元農家のみなさん達です。 |
【平成31年度以降に取り組んでいくこと】
平成31年度以降も当モデルほ場では、平成30年度の取り組みを継続して実施し、農地の環境改善や有害鳥獣からの侵入防止の取り組みを推進し、他の地域へ管理方法などを広めていくことができるよう取り組んでいきます。
新たな取り組みとしては、大幅に拡大することは出来ないものの、隣接する荒廃農地にも丹波の黒大豆を栽培し、荒廃農地を少しでも解消したいと考えています。
また、収穫した丹波の黒大豆は、町内の小中学校の学校給食へ無償で提供し、児童・生徒に地元の特産品を知ってもらい、児童・生徒に「食」への関心を持ってもらうとともに、農業への理解を深めてもらうような取り組みを実施していく予定です。