オカトラノオ

花が咲く6~7月は梅雨の頃、爽やかな花が蒸し暑さを忘れさせてくれます。
茎頂に直径1cmほどの白い花を多数密集してつけ、下から上へ咲いていきます。花は一方に片寄り、長さ10~30cmの先が垂れた太い花序になります。これを虎の尾に見立て、丘に生えるところから名前が付きました。
花は合弁花で、深く5つに裂けています。雄しべは5個、雌しべは1個です。
多年草で、地下茎を横に長く伸ばして繁殖します。そのため、たいてい群生していて、不思議なことに花序はほとんど同じ方向に傾いています。花が終わると、花序は直立します。
果実は、ほぼ球形で直径約2.5mm。熟すと褐色になり萼が残っています。
茎は普通枝を出さず1本で直立し、高さは40~100cm。
葉は長楕円形で先がとがり、茎に1枚ずつ螺旋状に付きます。若芽、若葉は茹でて水に晒し食べられます。
庄原市では、葉を乾燥しタバコの代用としたのでヤマタバコと呼んでいました。
中国では、利尿や月経不順などの薬、植物油の原料、家畜の飼料に用いました。
日本全土、中国などに分布。日当たりの良い草地や林縁に普通に見られます。
白い花や姿が似たヌマトラノオは、湿地に生えます。花序は直立し垂れません。花序も葉も細く優しげです。
【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子