コシアブラ

樹液を漉して、鉄の錆止めに使う油を採ったので、漉し油の名が付きました。この油を金漆と呼び、ゴンゼツノキの別名があります。黄色い樹液を見ています。
白色の材は、軽くて軟らかく加工し易いので、箱、下駄、細工物などに使われます。材を紙のように薄く削り、経文を写す経木にしたので、キョウギノキの名もあります。経木で編む帽子も作られていました。
若芽の天プラや和え物などは、コクがあり美味しいと人気があります。
花は8~9月。枝先に、黄緑色の小さな花が多数集まって咲きます。
果実は、やや扁平な球形で、直径4~5mm。10~11月に黒紫色に熟します。
葉は互生ですが、普通短枝の先に輪生状に出ています。8~30cmもある長い柄の先に、掌を広げたように5枚の小葉がつきます。トチノキに似ていますが、小葉にも柄があるのが特徴です。縁に刺状の鋸歯があります。晩秋、透き通るような美しい黄葉を見せます。
落葉高木で、高さ10~20m、直径は最大60cmに達します。樹皮は灰白色で滑らか。太い幹の根元などには数本のしわ状の横線ができ、まるで象の脚のようです。
北海道から九州に分布。県内に広く生育しますが、島には見られません。町内の山ほぼ全域に分布します。
【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子