カマツカ

晩秋、カマツカの紅葉が美しく目を引きます。
枝先に真っ赤な果実が集まってついています。長さ8mmほどの楕円形で、先端にがくが黒くなって残っています。甘酸っぱくて食べられ、果実酒にもできます。長い柄には、皮目が多くぷつぷつしています。
「鎌柄」の名は、丈夫で折れにくいため鎌の柄に用いたことから付きました。ナタやハンマーなどの柄にも賞用されます。
別名は「ウシコロシ」。この木で牛の鼻輪を作ったからという説と、牛の鼻輪を通す孔を開けるのに使ったからという説があります。
花は5月ごろ、葉がすっかり開いてから咲きます。直径8~9mmの白い花が短枝の先に10個以上も集まってつきます。円い花びらが5枚、雄しべは20本です。
葉は互生、短枝では束生します。先は尖り、揃った細かく鋭い鋸歯があります。
高さは3~4m、高いものでは7mの落葉樹です。
カマツカの葉は初め毛がありますが、しだいに取れほぼ無毛となります。ワタゲカマツカは葉裏などに白い綿毛が残るもので、ケカマツカは中間的なものです。しかし、変異が多くはっきり分けるのは困難です。
ほぼ日本全土に分布し、熊野でも普通に見かけます。晩秋の山を楽しみませんか。
【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子