オニフスベ

今秋、呉地の叔母の庭に突如として現れた巨大なキノコ。「ボールが転がってるのかと思った。今まで見たこともない。」と驚いています。私も実物は初めてです。
大きい方は直径32cm。ある図鑑に、直径30cmほどで2.2kgとの記述がありました。私が調べたものは、直径10cmが150g、直径18cmが600gでした。最大では、直径60cmにもなるそうです。
表面はなめし皮のような手触りで弾力があります。まるでバレーボールのようです。内部は白いはんぺん状。中の肉まで真っ白い幼菌は食べられます。外皮をむいてフライに、さっとゆでて酢漬けにして食べると美味しいそうです。私も食べてみようと思いましたが、切ってみると中心の方は既にカラシ色に変色していたので止めました。
胞子が成熟するにつれて褐色の臭い液を多量に出し、乾燥すると外皮ははがれ落ち褐色の老菌となります。やがて内皮も破れ、褐色で古綿状の胞子塊が露出し、膨大な量の胞子が風に運ばれて飛んでいきます。
オニフスベ属の仲間は世界に4種、日本には本種だけで日本特産です。
もともと珍しいキノコですが、発生数が減っていて広島県の準絶滅危惧種に選定されています。
和名は「鬼贅」。ふすべは瘤の古称です。
【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子