ノビル

和名は野蒜。「蒜」はネギやニンニクなどユリ科ネギ属の総称です。噛むとひりひりと口を刺激するので「ひる」と言うそうです。ネギ属の大きな特徴は、ネギ坊主のような花序です。
花は5~6月、茎は高さ50~100cm。花の一部、または全部がムカゴになるという目立った特徴があり、写真のように花がたくさん咲いているのはむしろ稀です。
花は直径1cmほどで白色から淡紫色。ムカゴは紫褐色のほぼ球形です。ムカゴは実ではなく、こぼれ落ちて繁殖する肥大した芽のことで、栄養繁殖といいます。
多年草で、葉は晩秋に出て冬を越し夏に枯れます。長さ20~30cm、幅3mm位の線形です。
地下に直径1~2cmの白いネギ状の鱗茎があり、そばに小さな鱗茎をつくって増えます。
葉も鱗茎も食べられ、ネギに似た匂いがします。茎の立たない4月頃が適期です。鱗茎は生で味噌をつけて食べ、また天プラやぬたなどにします。採り尽くさないで小さいものは埋め戻し、掘り返してはいけない田畑の畔では採取しないなどマナーを守りましょう。
縄文時代には既に食用とされ、「古事記」や「万葉集」などにも載っています。
日本全土に広く分布し、人里近くの日当たりの良い道端や土手、草地などに多く見られます。
【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子