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リンドウ

リンドウ
 
 清少納言の『枕草子』に「こと花どものみな霜枯れたるに、いとはなやかなる色合ひにてさし出でたる、いとをかし」とある竜胆。味わい深い晩秋の花です。町内では10月中旬~12月初旬に咲きます。長野県、熊本県の県花になっています。
 花は日光を受けて開き、雨の日や夜は閉じています。この様子は、リンドウ属の多くの種類で見られます。虫が来ない、受粉に効率の悪い時は花を閉じるのです。上を向いて咲く鐘型の花に雨が入り、花が傷むのを防ぐ働きもあるのでしょうか。   
 薬用として、根や根茎を乾燥し、煎じたり粉末にしたりして服用します。苦味成分ゲンチアニンが舌を刺激することで胃液の分泌が盛んになり、健胃薬として知られています。漢方で、古くから消炎剤として用いられてきました。
 この生薬が、熊の胆よりも苦いとして中国名「竜胆」の名があります。万葉集にはなく、古今集で「りうたむ」 、やがて「りんどう」に転訛したとされています。
 本州、四国、九州に分布し県内に広く生育する多年草で、高さ20~60cm。葉は対生で笹の葉に似ています。
 蕾や閉じた花は、筆の穂先のような形です。春に咲く小さなフデリンドウもあります。筆の里のリンドウ属、どちらも多くはありません。見守ってくださいね。

【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子

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