キイロスズメ
ジェット機のような姿、いかにも速く飛びそうですね。実際スズメガの仲間は大型で前翅が細長く飛翔力の強いものが多く、鳥のように渡りをするものもいます。採集家の間では、ガの貴族として扱われています。
5月から10月に、2回成虫が発生します。翅を開いた長さは80~105mm。写真のガは体長が54mmありました。腹部の両へりが鮮やかな黄色なのが特徴です。
夕方から夜に活動します。オシロイバナやオイランソウの花に、5cmほどもある長い管状の口を差し入れ、羽ばたきながら空中に停止して蜜を吸います。
この様子を見た人はハチドリと間違えたりします。私も子どもの頃、クチナシの蜜を吸うオオスカシバをハチドリかと思ったことがあります。
口の長さは花の筒部の長さと関係があり、スズメガの種類と訪れる花はだいたい決まっています。
メスは飛びながら、ヤマノイモ、オニドコロなどの葉に1個ずつ産卵します。産卵する食草をさがすのは、においをかぎ分ける鋭い感覚をもつ触角の力です。
幼虫には、尾端に1個黄色の角状突起があります。地上で粗末な繭を作り蛹になります。越冬するものは土の中で繭を作ります。
北海道を除く日本全土、ビルマ、インドなどに広く分布しています。
【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子