ツバキキンカクチャワンタケ
写真は、初神の大迫山中腹にあるヤブツバキの群生地で撮りました。ほぼ実物と同じ大きさです。
初めて見たのは、呉地の庭でした。図鑑に、長年ツバキの植わっている所で花のころに見られると書いてありました。もしかしたらとヤブツバキの根元を探したら、あったのです。
菌核菌(キンカクキン)の菌核とは、遊離した塊状の菌組織です。地面に落ちたツバキの古い花や葉に付着して、キノコを発生します。キノコには長い柄があります。傘のような部分を子嚢盤(しのうばん)といいます。子嚢盤は黄土色から褐色で、直径3~18ミリメートルほど。
成熟した子嚢盤からは、胞子が噴出するのが観察されるそうです。胞子は落ちた花に付いて菌子を出し、花の組織を分解して育ち、晩秋に菌核となります。
同じ仲間でよく似たものがあります。地面に落ちたハンノキの雄花穂から発生するキボリア・アメンタケア。モミ、トウヒなどの果鱗からマツカサチャワンタケ。ミズナラのドングリからドングリキンカクキンなどです。これらは、私もまだ見ていないのでぜひ探してみたいと思っています。
子嚢菌類は、子嚢と呼ばれる袋状の器官の内部で胞子がつくられる菌類です。
冬虫夏草(とうちゅうかそう)と呼ばれる仲間やアミガサタケの仲間などもこの子嚢菌類に入ります。
【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子