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平成30年9月11日 所信表明

所信表明(平成30年第4回熊野町議会定例会)

 〔はじめに〕
 議長からお許しをいただきましたので、この度の豪雨災害からの復旧、復興に向けて町政運営に臨む所信の一端を申し上げ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 改めまして、犠牲になられた方々に謹んで哀悼の誠を捧げ、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。未曾有の災害により12名もの貴い人命を失ったことは、町政をあずかる者として、断腸の思いでございます。
 被災に際し、警察、消防、自衛隊、建設業者、地方公共団体、ボランティアなど、県内外から実に多くの機関、団体、個人が救援、応援に駆けつけていただきました。三重県からは延べ800人を超える県と市町の職員を派遣いただき災害対策業務に従事いただくなど、全国から物心両面にわたる様々なご支援を頂きました。
 身を挺した活動や心温まる善意に対し、心から敬意を表し、感謝を申し上げます。寄せられた浄財は、被災者支援、今後の防災・減災のまちづくりに有効に活用させていただきます。
 
〔被災日の振り返り〕
 7月6日を顧みますと、避難準備や避難開始を呼びかけたのち、徐々に雨脚が強くなり、土砂災害警戒情報が発表された前後には、ため池決壊による甚大な被害発生の恐れが生じておりました。被害想定区域の全世帯を直ちに訪問して避難誘導を行うなど、極めて緊迫した状況にございました。町内の情勢把握が次第に進み、全町的な被害の発生を予見するに至り、局所的な避難指示活動から、全町への避難勧告、避難指示に切り替えて避難誘導と警戒活動を強化し、避難所の体制も整えました。
 午後8時20分を過ぎた頃、川角地区からの救助要請が入り始め、十数分後にはその地区での火災発生が通報されるなど、緊張度は極限に達しました。交通遮断により消防車や救急車の出動要請もままならぬ中、職員や消防団員等は、夜を徹し、冷静、かつ、懸命に救助活動を展開してくれました。
 こうした活動に一定の評価をいただいておりますが、反面、避難勧告の発出の在り方への指摘もありました。関係者が一丸となって最善を尽くしたと考えてはおりますが、時々の判断や対応が万全であったであろうかと、私自身、自問自答を繰り返しております。
被災後、避難勧告等の発出基準や周知方法等の見直しを直ちに進め、運用をしております。指摘は謙虚に受け止め、様々な意見を拝聴し、今後の糧といたします。

〔長期に及んだ避難所生活〕
 自宅が被災された方々は、長期間にわたり避難所で生活いただきました。不自由な環境の中、良く耐えていただきました。特に町民体育館は、運動施設のため居住性が低く、プライバシー確保など、多難な生活であったことと思います。
 地域住民やボランティアのご支援もあり、何とか避難所としての機能を維持し、運営することができました。
 被災者のご理解、そして避難所を支えていただいた公私にわたる多くのご支援により、災害対応は、復旧・復興の局面へと大きく舵を切ることができました。各方面のご支援に心から感謝を申し上げます。

〔生活再建への支援とインフラの復旧〕
 町は、被災後直ちに災害救助法等に基づく救助活動を進めてまいりました。今後も被災者の生活再建を支援し、平穏な生活が早期に回復するよう、様々な面でのサポートを続けてまいります。
 大原ハイツにつきましては、避難指示が一日も早く解除できるよう、県と連携し、応急的な砂防施設の早期完成に努めてまいります。
 また、被災は全町域に及んでおりますので、土石流発生箇所や河川、農地、道路、砂防施設等の復旧への取り組みを急ぎ実施いたします。ため池は、点検や保守、改良を促して安全性を向上させ、不用となったものは廃止を促します。

〔広域道路の強靭化〕
 この度の災害では、本町に通じる全ての道路が遮断され、多数の帰宅困難者が発生するとともに、救助・救援活動、ライフラインの復旧作業、食料品などの物流にも大きな支障が生じました。本町をとりまく交通アクセスの、災害への脆弱性が露見いたしました。
 また、広島、呉、東広島の各都市を結ぶ道路や鉄道にも、復旧までに長期間を要する甚大な被害が生じました。これらの都市間交通の結節点である本町では、連日、大渋滞が発生し、住民生活への支障など、多大な影響を受けました。
 このため、三都市の中心にある本町において、道路交通ネットワークのハブ機能が十分に発揮できるよう、各県道の強靭化および広域的な道路網の整備充実を強く働きかけてまいります。

〔防災・減災を推進する条例の制定〕
 災害から教訓を得ることが大切でありますが、この度の犠牲はあまりにも大きく、筆舌に尽くしがたい代償でした。痛恨の極みでございます。この犠牲を無にすることなく、防災・減災の取り組みに邁進してまいります。
 自然の猛威には、消防力を含め、行政の防災力、物理的な被害抑止策はあまりにも微弱であり、そして限界がございます。そのため、災害への対応は、町、町民、事業者、地域団体、関係機関等がそれぞれ役割を果たし、かつ、相互に連携する必要があります。とりわけ、住民主体で自主的に進める減災の取り組みが不可欠であり、そこに軸足を置くことが極めて重要であることを、改めて強く認識したところです。
 こうした体制を、町をあげて整えるため、防災・減災のまちづくりに関する条例を制定したいと考えております。町を構成する様々な機関、団体、そして個人が防災・減災に向けた役割や責務を共有し、災害に強い、安全なまちをよみがえらせるため、町議会ともよく相談して、実効性のある条例づくりを進めてまいります。

〔公助の充実〕
 行政の防災・減災への能力向上も鋭意進めてまいります。
 発災を受け、部長級の危機管理監を置き、危機管理課を新設し、復旧・復興に向けて部門間の連携を強化する体制を採っております。
 今後、防災行政無線の更新による避難周知体制の強化、自主防災組織の結成と活動支援、消防団による水防体制の強化、防災・減災のための広報・啓発の充実、有事の際の食糧等を確保する災害時応援協定の補充など、防災・減災の強化に向け、各般の取り組みを進めてまいります。

〔むすびに〕
 熊野町が元気を取り戻し、住民の日常が正常化するには、一定の時間が必要です。
 発災から1年が経過した時点を目途に、ご遺族とも相談しながら、犠牲者を追悼する催しを執り行いたいと考えております。その場において、取り組みの成果やまちづくりへの決意を犠牲となられた方々にしっかりと報告できるよう、復旧・復興の取り組みを加速させてまいります。
 町制施行100周年を迎えた今年、私たちはこれまで経験したことのない試練に直面しました。この試練に立ち向かうため、多くの行事を中止、或いは、延期とさせていただきました。この判断への関係各位のご理解に対し、改めてお礼を申し上げます。
 町の歴史の大きな節目に起きた、この度の災害を胸に深く刻み、自助、共助、公助による防災・減災のまちづくりを着実に推進してまいりますので、議会のご支援、住民のご理解とご協力を賜りますよう、切にお願い申し上げます。
 
 

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