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サンヨウアオイ

サンヨウアオイ

 
 植物が分布を広げることによって移動する速度を比べると、風に乗せて無数の種を遠くへ運ぶススキやタンポポは非常に速いグループです。逆に、極端に遅いのが、このサンヨウアオイなどカンアオイの仲間です。
 最大の特徴は、花が地面すれすれで下向きに咲くことです。実は熟すと崩れ、種は根元に落ちるだけ。10m移動するのに、百年とも千年とも言われます。私が調べた株は、20年で120cm離れた所に発芽しました。
 種にはアリが好む部分がありますが、アリが運ぶことは稀で距離も短いのです。
 分布速度が遅いので、地域ごとに固有の種が自生し、日本に約30種もありますが、産地から種が推測できます。
 開発や観賞用などの採取で絶滅が心配されています。春の女神、ギフチョウの幼虫が葉を食べて育ちます。
 山陽西部に主に分布するので、山陽葵の名があります。県内では南西部に限られ、町内の山ほぼ全域で見ますが、多くはありません。
 葉は長い柄のあるハート形で、表面の模様は様々です。種類を調べるには、花の構造が最も大切です。
 花は4~5月に咲き、直径1.5~2cm。萼の裂片は3枚で紫褐色です。萼の下半部は白い壺形です。壺の上部はニホンカボチャの様な形で6個膨らみがあります。

【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子

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