クロキ
県内のハイノキ科の仲間で、最初に咲くのがクロキです。3~4月、葉の腋に密集して花をつけます。白い花は5つに深く裂け、直径8mmほど。雌しべは1個ですが、多数の雄しべが花より長く突き出ています。
ハイノキ科はハイノキ属の一属のみで構成されていて、花は普通白色です。
クロキは、冬に淡緑色の花を見ることがあります。何かの刺激で春の開花期を待たずに咲いてしまった花ではないかと思っています。
実は長さ1cmほどの楕円形で、9月下旬ごろから熟して黒紫色となります。
ハイノキ科の多くが多量にアルミニウムを含んでいて、アルミニウムの化合物のミョウバン類が得られるため、灰を媒染剤に用いてきました。それで「灰の木」の名があり、クロキの灰も利用します。
「黒木」の名は、樹皮が黒褐色をしているからです。
西日本の沿岸部に分布する常緑広葉樹で、高さは普通5~10m。県内では南部に生育し、熊野のアカマツ林にもよく見られます。
葉は先が尖らず、すべすべした厚い葉が互生します。縁はなめらかか、または目立たない低い鋸歯がありす。落葉が黄色、若枝は淡緑色で角ばって稜があること、葉芽は枝先に1個つき急に細くなって尖ることなどが特徴です。
【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子