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エゴノネコアシアブラムシ

エゴノネコアシアブラムシ
 
 枝先に、長さ3cmほどのバナナ形の虫こぶが集まってついています。エゴノキにつき猫の足の形なので、エゴノネコアシと呼ばれます。昔から知られ、ドイツの有名な博物学者シーボルトの著書にも載っています。
 虫こぶは、主に昆虫が植物に産卵し寄生することで植物の組織が異常に大きくなったり変形したりしたもので虫えいとも言います。日本に千四百種以上の虫こぶがあるそうです。エゴノネコアシは、エゴノネコアシアブラムシの虫こぶです。
 春、卵から孵化した幼虫は全部メスです。成長すると交尾しないで卵はメスの体内で孵化しメスの幼虫を産みます。こうしてメスだけで増えていきます。虫こぶも大きくなり、内部はクローンのアブラムシでいっぱいになります。写真は6月に撮ったものです。7~8月、虫こぶの先端が開き翅のある成虫が出てイネ科のアシボソに飛んでいき、オスも産まれて交尾します。秋、メスはエゴノキに戻って冬芽に産卵し、卵で越冬します。季節によって寄生する植物を変えたり、単性生殖と有性生殖をしたりと生態は実に複雑です。
 植物に寄生し虫こぶをつくって隠れ家と食料を得た昆虫たち。しかし、完全に安全とは言えません。虫こぶに産卵管をさして、中の幼虫に寄生するハチの仲間などもいるからです。

【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子

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