償却資産に対する課税のしくみ
(1)償却資産に対する課税
(ア) 評価のしくみ
固定資産評価基準によって、取得価額を基礎として、取得後の経過年数に応ずる価値の減少(減価)を考慮して評価します。
(イ) 償却資産とは
会社や個人で工場や商店などを経営している人が、その事業のために用いることができる機械・器具・備品等で、土地・家屋以外の減価償却できる資産をいいます。
(例)
1.償却資産の対象となるもの
(1)構築物(煙突、鉄塔、岸壁、舗装道路など)
(2)機械および装置(旋盤、ポンプ、太陽光発電設備など)
(3)船舶
(4)航空機
(5)車両および運搬具(貨車、客車、トロッコ、大型特殊自動車など)
(6)工具、器具、備品(測定工具、切削工具、机、いすロッカーなど)
2.償却資産の対象とならないもの
(1)無形減価償却資産(アプリケーションソフトウェア、特許権など)
(2)使用可能期間1年未満の資産
(3)取得価額が10万円未満の資産で法人税法等の規定により一時に損金算入されたもの(いわゆる少額償却資産)
(4)取得価額が20万円未満の資産で法人税法等の規定により3年間で一括して均等償却するもの(いわゆる一括償却資産)
(5)自動車税および軽自動車税の対象となるもの(小型フォークリフトなど)
※ (3)、(4)の場合であっても、個別の資産ごとの耐用年数により通常の減価償却を行っているものは課税の対象となります。
(ウ) 償却資産の評価・税額の求め方
1.評価
(1)前年中に取得された償却資産
価格(評価額) = 取得価額 ×(1-減価率/2 )
(2)前年前に取得された償却資産
価格(評価額) = 前年度の価格 ×(1-減価率 )……(a)
ただし、(a)により求めた額が、(取得価額×5/100 )よりも小さい場合は、(取得価額×5/100 )により求めた額を価格とします。
2.税額
償却資産は、原則として価格が課税標準額になりますので、それに税率を乗じて税額を求めます。
(2)償却資産の申告制度
償却資産の所有者には、毎年1月1日現在の償却資産の状況を1月31日までに申告していただきます。これに基づき、毎年評価し、その価格を決定します。
(3)その他
国税と地方税の取扱いの違いについては下表のとおりです。
項目 |
国税の取扱い |
地方税の取扱い (固定資産税) |
償却計算の基準日 | 定率法・定額法の選択制 (平成19年3月31日以前取得は旧定率法・旧定額法の選択制) |
原則として旧定率法 (固定資産評価基準に定められる減価率による) |
前年中の取得資産 | 月割償却 | 半年償却 |
圧縮記帳 | 認められている | 認められていない |
特別償却・割増償却 即時償却 |
認められている | 認められていない |
評価額の下限 | 備忘価額(1円) | 取得価額の5% |
中小企業者等の少額資産の損金算入の特例 | 認められている | 認められていない |
参考図書 一般社団法人 資産評価システム研究センター 編集・発行 「固定資産税のしおり」