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クロモジ

くろもじの写真
 
 熊野の山も冬を迎えました。葉を落とした低木の枝先に、かわいい冬芽を見付けました。中央の紡錘形をしたのが葉芽、丸くて先が少し尖っているのが花芽です。花芽の柄に毛があるのがクロモジの特徴で、町内の近縁種と区別できます。
 枝を折るといい香りがします。精油を含んでいるからです。香水の原料にします。和菓子に添えられている上等の楊枝は、皮つきのまま削って作られ、黒文字(クロモジ)と呼ばれます。緑色をした枝の黒い斑紋を文字に見立てたのが、名の由来です。
 油分を含んでいるため生木でも燃え易く焚き付けに使い、県北では、アブラギの名があります。子どもの頃冬の山仕事で、薪を束ねるのに父がクロモジを使っていたのを覚えています。
 花は熊野では4月頃に咲きます。葉が開くよりやや早く咲き始め、一つの花芽から10個ほどの淡い黄緑色の小さな花が咲きこぼれます。花には柄があります。雌雄異株で、雄花は雌花より大きめで華やかです。
 葉は互生し枝先に集まってつき、初め白い長毛があります。柄があり、長めの楕円形で縁はなめらかです。
 実は直径5ミリメートルほどの球形です。秋には鮮やかに黄葉した葉の中に、艶やかな黒い実が集まって印象的です。
 町内で普通に見られます。

【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子

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