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スズメノヤリ

スズメノヤリのしゃしん
 
 春です。冬の間、根生葉ばかりだったスズメノヤリも、高さ10~20センチメートルほどの花茎を伸ばしています。子どもの頃、すっと抜いて口にくわえタバコを吸うまねをして遊びました。
 「雀の槍」の名は、花が丸く集まった姿を大名行列の毛槍に見たてたものです。この特徴的な姿で、近い仲間から簡単に区別できます。
 風に花粉を運ばせる風媒花です。雌しべの先の柱頭は3本に分かれ、1本よりも受粉するのに効率的です。
 まず、白い柱頭が伸び出します。この時、自分の雄しべは成熟していません。雌性期の花です。柱頭がしなびて受粉する能力を失ってから、雄しべが成熟します。写真はその雄性期の花です。褐色をした6枚の花被片が開き、雄しべの黄色い葯から花粉が出ています。
 自分の花の花粉を避け、ほかの花の花粉を受粉する仕組みで、異なった遺伝子を得るための方法です。
 果実は熟すと乾いて裂ける蒴果(さくか)で、蒴果では珍しく一つの果実に種は3個しか入っていません。種には多肉質の白い種枕(しゅちん)が付いています。アリなどが好む物質を含み、種を運ばせるのに役立つと考えられています。
 日本全土に分布し、日当たりの良い草地に生える多年草です。花は4~5月頃。町内で普通に見られます。

【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子

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