メンガタスズメ
「面形(メンガタ)スズメ!」町民会館でこの蛾を見つけた時、お面を背につけた特徴的な模様に覚えがありました。
属名アケロンチアは、ギリシャ神話の地獄の河の名にちなんだもので、面形をどくろに見たようです。ヨーロッパでは、この属の蛾の眼を見ると不幸が来るという迷信があるそうです。
黒っぽい地味な前羽は、保護色で隠れるのに向いています。しかし、後羽は黄色で黒い帯が2本あり、太い胴も黄色と黒の縞模様でとても目立ちます。危険が及んだ時、敵を驚かす役目をすると思われます。羽を開くと10センチメートル前後になります。5~10月に発生します。
幼虫は、ナスやジャガイモなどの葉を食べ、大きくなると体長10センチメートルになります。本州以南に分布しています。
スズメガの仲間は、日本に約70種。多くは、羽が細長い三角形で胴は太く、飛ぶ力が強くて渡りをするものもいます。幼虫はイモ虫で、尾端に1本の角があるのが特徴です。ほとんどの種が、地上や地中で蛹になり越冬します。子どもの頃、畑を耕すと蛹がよく出てきました。摘むと褐色の体の先をキュッキュッと動かします。「西向け東向け」だと教えてもらいました。
町内では、キイロスズメ、セスジスズメ、オオスカシバなど数種類を見ています。
【写真・文】
緑花文化士 冨沢由美子