○熊野町いのちをつなぐ手話言語条例

令和元年12月12日

条例第18号

言語は、人の意思・思想・感情などの情報を表現・伝達する上で不可欠であり、知識を蓄え文化を創造し、人間社会の発展に大きく寄与してきました。手話は、音声言語である日本語とは異なる言語であり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語です。ろう者は、手話で物事を考えコミュニケーションを図り、お互いの意思疎通に欠かせない、いのちをつなぐ手段としての手話を大切に育て発展させてきました。

かつて、ろう者への教育において手話が認められず、ろう者は、日常生活において必要な情報を得ることもコミュニケーションを取ることもできず、不安や不便さを感じてきました。また、聞こえる人もろう者を理解する機会が少なく、お互いに充分、分かりあうことができませんでした。

ろう者と聞こえる人が、共生していくうえで手話の共有は不可欠であり、いのちをつなぐ文化と言っても過言ではありません。

障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話は言語として位置づけられた今、ろう者を含むすべての町民が「お互いに尊重し合いながら、だれもが、自立し健やかに暮らせるやさしいまちづくり」を目指し、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は手話が言語であるとの認識に基づき、手話への理解及び手話の普及に関し、基本理念を定め、町の責務及び町民の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進することにより、すべての町民が安全に安心して暮らせる町づくりの実現を目的とする。

(基本理念)

第2条 手話への理解及び手話の普及は、ろう者が手話による意思疎通を円滑に図る権利を有することを前提に、誰もがお互いに尊重し合い、心豊かに安心して暮らせるまちづくりを実現することを基本として行わなければならない。

(町の責務)

第3条 町は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話に関する認識の普及に関する施策を推進する責務を有する。

(町民の役割)

第4条 町民は、基本理念に対する理解を深め、手話に関する町の施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 商業、工業、金融業、医療その他の事業を行う者は、基本理念を踏まえ、町の施策に協力し、従業者に対する研修その他必要な措置を講ずるなど、ろう者が利用しやすいサービスを提供するよう努めるものとする。

(施策の推進方針)

第6条 町は、手話に関する認識の普及に関する施策の推進方針(以下「推進方針」という。)を策定しなければならない。

2 推進方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 手話に対する理解及び手話の普及を図るための事項

(2) 町民が手話による意思疎通や情報を得る機会の拡大のための事項

(3) 町民が意思疎通の手段として手話を選択することが容易にでき、かつ、手話を使用しやすい環境の構築のための事項

(4) 町民が幼児期から手話に関心を深めることができるようにするための学習の振興に関する事項

(5) 学校教育における手話に親しむ活動など、手話への理解の促進のための事項

(6) 前各号に掲げるもののほか、町長が必要と認める事項

(財政措置)

第7条 町は、手話に関する施策を積極的に推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(委任)

第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

熊野町いのちをつなぐ手話言語条例

令和元年12月12日 条例第18号

(令和元年12月12日施行)

体系情報
第11編 社会福祉/第3章 障害者福祉/第1節
沿革情報
令和元年12月12日 条例第18号